12月16日に東京都羽村市にある日野自動車株式会社 お客様テクニカルセンターにて平成28年度 第6回 安全運転講習会を実施いたしました。
研修参加者は入社したばかりの新入社員~べテラン乗務員が12名、安全統括管理者と運行管理者2名が参加しました。教育計画では第7回まで予定しておりましたが、今回をもって全乗務員と所長、運行管理者が安全運転講習を受講することができました。
座学で「車両の特性」、「人間の特性」を学んだあとは大型バスを使用してバックミラーやバックカメラの死角について学びます。実際にどの場所や角度が死角になるのかなど、分かっているようで分かっていない部分を詳しくご教授いただきました。
バックミラーで死角になる位置にトラックを置き、バックミラーに映る視野角度や運転席周りの死角や目視の重要性についてパイロンなどを置いて確認。また、内外輪差やオーバーハングについても実際に車両を動かして数字で長さを確認しました。
日常点検講習は不具合が仕掛けてある中型バスの点検講習車を用いて一人ずつ交代で各自で点検をしてもらい、テスト方式で不具合箇所を探して解答用紙に記入します。普段乗務員が正しく点検しているか、誤った点検方法をしていないかなどを再確認する機会にもなります。難しい不具合箇所もあったので満点の乗務員はおりませんでしたが、専門的な知識をもった指導員の方からたくさんのアドバイスを頂きました。
例えばタイヤを取り付けてあるボルトが緩んでいた場合、点検ハンマーでボルトを叩いた時にどのような音がするのか。振動はどのように手に伝わってくるかを体験することが出来ます。発生することが少ない不具合を体験しておくことで、現場で速やかに不具合に気づくことが出来るようになると思います。
特設コースではクランク、方向転換、狭隘路など非常に狭いコースを運転します。曲がる前の車両の置き方、ハンドルを切る量とタイミング、フロントとリヤのオーバーハングなど全てにおいて注意を払わないとパイロンやポールに接触してしまいます。午前中に学んだ車両の特性などを正しく理解して、実践できなければ完走することが出来ません。ベテラン乗務員であってもかなり苦労しておりました。実際の現場ではここまで狭い状況は無いかもしれませんが、接触するかどうかギリギリのコースを頭で考えながらハンドルを切ることにより車両の特性を体感することが出来ます。
狭隘路での運転席周辺の死角や、高さ制限に不安を感じた時は目視による安全確認を行うよう指導しております。ベテランになるほどバスから降りて周囲の安全確認をする行動を取らない傾向にありますが、安全確認を怠れば接触事故に直結することなので初心に返ってバスから降りる行動の重要性を指導いたしました。
最後にインストラクターの方によるデモ走行を見学させていただきました。乗務員が何度もハンドルを切り返して曲がったコーナーや方向転換をインストラクターの方はハンドルを切り返すことなく曲がっていきます。車両の特性やタイヤの位置、ハンドルの切り方、切るタイミングを正しく理解していれば一回で曲がれるコースに作られております。この研修はベテランドライバーであっても初心に返ってもらう機会になります。乗務員からは普段味わえない緊張感があった、自分の腕を過信していた、楽しく研修を受けることが出来たなどの感想がありました。
また、運行管理者の立場としても各乗務員の運転を外から見ることは大変勉強になります。各自の運転技術を把握し、癖や弱点を確認しておくことで今後の指導に活かし事故防止に役立てて参ります。